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Monday, February 24, 2020

社説 公益通報の保護 報復への罰則欠かせない - 信濃毎日新聞

 不十分だった内閣府の報告書を、さらに後退させるのか。

 公益通報者保護法の改正案である。企業などの不正を告発した人が、解雇などの報復をされないように守る目的だ。

 内閣府の専門委員会の報告書を受け、改正案を検討していた自民党の消費者問題調査会が、消費者庁への提言をまとめた。

 内部通報の窓口設置を義務付け、担当の従業員や役員に守秘義務を課す。一方で専門委の報告書に盛り込まれた報復企業への行政措置や企業名の公表を見送り、「通報者の負担軽減や不利益取り扱いの是正に向けた取り組みを進める」にとどめた。

 消費者庁は提言を基に改正法案を作成し、3月にも国会に提出する方針という。この内容で内部通報者が守られるとは思えない。

 これまで発覚した企業の不正事件は、内部や取引先の通報がきっかけになったケースが多い。

 自民党の提言に守秘義務が盛り込まれたことは一歩前進とはいえる。ただし、通報者は企業側に閑職に配置転換されたり、解雇されたりするケースが相次いでいる。企業側が内部通報と解雇などの関係性を否定すれば、通報者が違法性を立証するのは簡単ではない。

 消費者庁は告発者を守るため、報復した企業に対する罰則規定を改正案に盛り込むべきだ。

 改正案の報告書や提言は論議を積み重ねるたびに、内容が後退してきた。内閣府の専門委では当初、報復に対する刑事罰の導入も検討されていた。それなのに18年7月にまとめた中間論点では刑事罰は盛り込まれなかった。

 最終報告では、一定期間内に内部通報者を解雇した企業側が、報復でないことを立証する責任を負うことも除外された。

 内部告発の経験者からは「勇気を出して不正を訴えた人を守れない」との指摘が出ていたのも当然だ。自民党の提言はさらに骨抜きにしている。

 経済界から罰則などは「負担が大きい」などの反発が出ていたことが理由とされる。企業が責任を持って法令を順守していれば、内部通報者を保護しても恐れる必要はないはずである。

 ここ数年、国内企業には品質データの改ざんなど、組織ぐるみの不正の隠蔽(いんぺい)などが相次いだ。かつて世界を席巻した日本企業の「ものづくり」に対する不信感はまだ拭えていないだろう。

 信頼を取り戻すには不正を許さない姿勢を企業自ら示すことが欠かせない。提言は不十分である。

(2月25日)

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