本稿は、韓国のスタートアップメディア「Startup Recipe(스타트업 레시피)」の発表する週刊ニュースを元に、韓国のスタートアップシーンの動向や資金調達のトレンドを振り返ります。
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7月26日~7月30日に公開された韓国スタートアップの調達のうち、調達金額を開示したのは15件で、資金総額は1187.3億ウォン(約112.7億円)に達した。
主なスタートアップ投資
- AI スタートアップの MoneyBrain(머니브레인)が400億ウォン(約38億円)を調達。ディープラーニングベースのチャットボット、映像合成、音声合成などの基礎技術を保有しており、AI アナウンサー、AI キオスクなどで事業を拡大中。
- 電子カルテ(EMR)ベースのデジタルヘルスケアスタートアップ Cenacle Soft(세나클소프트)が126億ウォン(約12億円)を調達。既存の EMR の欠点を補完する電子チャートで病院運営に必要な事前審査エンジン、診療待機画面などが統合されたオールインワン型病院情報システムを提供。
- 小型衛星ロケット発射体開発スタートアップ Inospace(이노스페이스)が250億ウォン(約23.7億円)を調達。ハイブリッドロケット推進体をコア技術として保有しており、VC 各社は Inospace が持つ差別化された技術力と小型衛星市場成長に対し投資を実行。
- 40〜50代女性向けファッションアプリ「Queen It(퀸잇)」を運営するスタートアップ Rapport Labs(라포랩스)が100億ウォン(約9.5億円)を調達。ローンチから11ヶ月で、BCBG、マリー・クレール、など300以上のブランドを集めた。累積ダウンロード170万件達成。調達資金で、AI によるレコメンドサービスの開発を強化し、新規カテゴリを拡張する計画だ。
- 暗号化データ分析・取引技術を開発するスタートアップ Desilo(디사일로)が60億ウォン(約5,700万円)を調達。Desilo 取引プラットフォームは、機密情報の流出を遮断し、企業間のデータの結合分析や取引を円滑に実施するのが特徴。年内にベータ版をリリースする予定。
トレンド分析
今年急浮上した技術キーワードは断然メタバースだ。仮想を意味する「メタ」と世界を意味する「ユニバース」の合成語であるメタバースは、新型コロナウイルス感染拡大で非対面が日常化され、3次元の仮想世界でのリモート業務、授賞式、ファンミーティング、ショーケースなど、さまざまな活動が行われる分野に浮上した。最近では、メタバースでスタートアップデモデイが初めて開かれた。韓国コンテンツ振興院が発表した資料によると、メタバース関連ニュースは2021年以来急増しており、メタバースへの関心が社会全般にわたって示され、主な関連単語ではスタートアップ(스타트업)、Zepeto(제페토、韓国の3Dアバターソーシャルサービス)、カカオ(카카오)、Aespa(에스파、K-POP 女性グループ)、アンタクト(언택트、un + contact から来た造語で非対面の意)などが挙げられた。
メタバース熱気が熱くなり、仮想現実の世界を実現する技術に関するスタートアップも増えている。上場を成し遂げた Roblox の2番目となるような事例を模索すべく投資家が動いているのだ。今年上半期メタバースキーワードを飾った韓国の国内複数のスタートアップもまた、大規模な資金調達に成功した。特に過去数年間の投資市場で疎外された AR や VR コンテンツ企業がそれを成し遂げた。106億ウォン(約10億円)を調達した AmazeVR(어메이즈VR)、85億ウォン(約8億円)を調達した Anipen(애니펜)、Perfect Storm(퍼펙트스톰)、SeersLab(시어스랩)などが代表的だ。
政府レベルでの産業育成も進行中だ。今後メタバースが次世代プラットフォーム革命になると予測し、エコシステムの活性化に乗り出した。韓国政府の科学技術情報通信部は5月、通信3社、Hyundai、Naver Laboratories、Kakao Entertainment、CJ ENM などの大企業や機関が参加するメタバースアライアンスを設立した。また、7月25〜26日には初のメタバースピッチデイを開催し、エコシステムの活性化と投資の連携などを継続支援する計画だ。
企業もメタバースを話題にし、市場の先取りと投資に乗り出している。韓国で人気のメタバースプラットフォームには、Zepeto、Epic Games(Fortnite)、Roblox などが挙げられる。世界2億人が使う Zepeto は、一般ユーザが直接ゲームを作ることができるゲーム制作機能を披露する計画で、Roblox と競い合う構図になると見込まれる。また、Epic Games は5月に10億米ドルを資金調達、この資金をメタバースビジョンを追求するために利用すると明らかにした。Facebook は5年以内にメタバース企業に転換すると宣言した。8月に上場を控えた「Battlegrounds」の開発会社 Krafton は、メタバースという言葉の代わりに、インタラクティブバーチャルワールドという概念を掲げ、仮想世界にアクセスするとの計画を明らかにした。
メタバース産業は今後より大きくなると予想される。 2030年には1兆5000億ドル規模に成長すると予想されている。メタバースは、デジタルゲームに慣れている MZ 世代(ミレニアルと Z 世代)のための新しい遊び場であり、消費への窓口として定着が進む中、これらを攻略しようとする企業が分野を超えて市場に参入しており、関連産業はさらに成長すると期待される。
【via StartupRecipe】 @startuprecipe2
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