秩父地域の県立高校で二〇一八年、当時二年生だった元女子生徒（１９）が、同級生からのいじめが原因で転校する問題があり、学校は今月四日に調査報告書をまとめた。元生徒の父親滝沢祐二さん（５０）が十一日、県庁で会見し、被害者の主張がなかなか聞き入れられず、何度も事実誤認を含む報告書案を示されたとして「同じことを繰り返さない体制づくりをしてほしい」と訴えた。
報告書によると、元生徒は一八年五月以降、仲が良かった同級生三人から無視されたり、「自殺しそうだ」とうわさを流されたほか、加工した顔写真をツイッターに載せられるなどの嫌がらせを受けた。元生徒は一カ月間不登校となり、同年七月に転校した。報告書は、元生徒が訴えた同級生らの五つの行為全てをいじめと認定し、転校はいじめが原因と結論づけた。
滝沢さんは娘の転校後、学校に「いじめが原因」と伝えたが、学校側は同級生一人からの聞き取りでいじめが確認できなかったとして、それ以上の調査はしなかったという。滝沢さんは文部科学省に相談し、県教委が学校に「重大事態に該当する」と指導。一八年十一月から学校職員による調査が始まった。
しかし、一九年二月に学校が示した報告書案では、同級生らとの話し合いに元生徒が来なかったと書かれていたが、そもそも話し合いを持ち掛けられていないなど、事実と異なる点が複数あったという。滝沢さんは「加害者の言い分に沿ったものだった」と指摘。報告書は同年五〜十月に三度の修正を経て完成した。
同校の副校長は取材に「生徒の心情に迫れず、一部の教職員のみで対応してしまった。被害生徒への聞き取りも不十分で報告書作成に長い時間をかけてしまい、申し訳ない」と話した。 （浅野有紀）
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秩父地域の県立高、いじめを学校側が認定 報告書完成で父親訴え「事実誤認 繰り返さないで」 - 東京新聞
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