令和2年6月9日
6月3日,世界貿易機関(WTO)事務局は,新型コロナウイルスの危機における中小零細企業(MSMEs)への支援に関する報告書を発表したところ,その概要は以下のとおりです。なお,報告書の全文はWTOのホームページでご確認頂けます。
- MSMEsは世界全体の企業数の95%,雇用の60%を占め,途上国ではGDPの35%,先進国ではGDPの50%を創出するなど,各国の経済の屋台骨。また,MSMEsは,女性や若年層の主要な雇用主であり,イノベーションの重要な推進力でもある。新型コロナウイルスにより,財政資源や資金調達力に限りがあるMSMEsは特に大きな影響を受けている。
- 新型コロナウイルスによるサプライチェーンの混乱がMSMEsに与える影響は,国や経済部門によって異なる。いくつかの国ではMSMEsはグローバルバリューチェーンに深く統合されているが,大半の国ではそうではない。MSMEsがグローバルバリューチェーンに深く統合されている経済部門としては,海外からの材料調達の割合が高い事務用品,電化製品,化学製品,石油・プラスチック,売上げに占める輸出の割合が高い自動車,家具等が挙げられる。
- MSMEsは,比較的少ない手元資金しか有しておらず,それ故,新型コロナウイルスによる経済ショックを吸収する余地が小さい。アジア太平洋地域の中小企業貿易連合が調査した147社の中小企業のうち,約50%の中小企業が1か月以下の手元資金しか有していなかった。また,一般的に,MSMEsが有する在庫及びサプライヤーのネットワークは限られており,サプライチェーンの混乱の影響を受けやすい。
- WTOの調査によれば,先進国では従業員数250人未満の企業は輸出の34%しか占めていない。また,途上国ではMSMEsの輸出は製造部門の総売上の7.6%を占めるに過ぎず,MSMEsの国際貿易への参加は依然として限定的である。その理由は,国際市場に関する知識の欠落,煩雑な規制及び税関手続に加え,MSMEsにとって貿易金融へのアクセスが限定的なことなどがある。
- MSMEsへの支援は雇用と生産性を維持するために非常に重要。各国政府は,MSMEsを含む民間企業に対してキャッシュフローを改善するための支援を行っており,2020年4月までに,44のWTO加盟国が公的融資,信用保証,賃金補助,納税猶予等の措置を講じている。また,税関手続の簡素化,医療用品及び農産品の関税引下げなどの税関関連措置を通じた貿易機会の拡大によってMSMEsを支援する加盟国もある。
- 長期的な取組としては,将来的な経済危機に備え,MSMEsの強靭性を高めることが不可欠。MSMEsのビジネスのデジタル化はその一つの手段。いくつかの加盟国は,MSMEsに情報通信技術を採用するインセンティブを与えることにより,将来の経済危機に対する強靭性の向上と取引先の多様化を推進している。
- 国際貿易は,MSMEsに対し,収益源を多様化し,新型コロナウイルスの危機への対応力を高める機会を提供する。MSMEsが政策の急速な変化に対応し,利用可能な支援策を効果的に活用し,新たな市場機会を見いだすには,情報へのアクセスが決定的に重要であり,透明性がこれまで以上に求められている。さらに,資金が潤沢でないMSMEsが貿易に参加できるよう,MSMEsが貿易金融サービスを利用できることが何よりも重要である。
- 2017年12月に設立されたWTOにおけるMSMEs非公式作業部会では,90を超える加盟国が参加し,MSMEs及び政策立案者向けの情報提供のためのオンラインプラットフォームの開発,貿易金融のグッドプラクティスの共有促進,MSMEsのニーズを考慮した国内規制の策定等につき議論が行われている。また,新型コロナウイルスへの対応についても,加盟国はMSMEsへの支援策に関する情報を提供することが奨励されている。
- WTOでは,MSMEs非公式作業部会以外にも,(1)加盟国がとる貿易措置の透明性確保,(2)貿易円滑化協定の完全な履行の促進,(3)MSMEsの貿易金融へのアクセスの改善,(4)公平で開放的かつ透明な政府調達の促進,(5)電子商取引のルール作成を含む貿易のデジタル化推進,といった取組が行われており,これらはMSMEs支援に貢献するものである。
"報告書" - Google ニュース
June 09, 2020 at 09:34AM
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新型コロナウイルスと中小零細企業に関するWTO報告書 - Ministry of Foreign Affairs of Japan
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