米国通商代表部(USTR)が3月31日に発表した2020年版外国貿易障壁報告書(NTE)では、中国に関する記述は26ページで2019年より4ページ増加した。2019年版と同様に、産業政策、政府調達、貿易救済措置、知的財産権、農業、サービス、透明性、法的枠組みが項目として挙げられた。
2019年の米国の財の対中貿易赤字は、前年比17.6%減の3,456億ドルになった。2019年の対中輸出額は1,066億ドルと11.3%減少し、対中輸入額は4,522億ドルと16.2%減少と、輸出、輸入とも大きく減少した。背景には米中双方の追加関税の応酬による影響があると見られる。
今回のNTEでは、米中による第1段階の経済・貿易協定の締結を、歴史的な成果として挙げた。同協定は米国が問題視している強制技術移転など中国の不公正な貿易慣行や、不適切な知的財産権の保護・履行体制などについて、中国側が応える内容になっているとしている。
今回のNTEでは、産業政策の中で新設された項目はなかったが、1974年通商法301条(以下、301条)に基づく追加関税措置の主要要因の一つとなった、長年に渡る外国企業に対する強制技術移転について改善することを第1段階の協定で中国が同意したとしている。他方で、中国が国内企業に不正な補助金を提供することで引き続き米国の産業を害しているとし、EUおよび日本と協力して問題解決に取り組むとしている。
農業では、第1段階の協定において、中国が協定発効から2年間かけて米国産の農水産品の輸入を拡大し、最低でも年間平均で4,000億ドルの購入を約束する内容が盛り込まれたとしている。また、「農業バイオテクノロジーの承認(Agricultural Biotechnology Approvals)」、「付加価値税還付・関連政策(Value-added Tax Rebates and Related Policies)」に関する項目が新設された。前者に関しては、第1段階の協定において、透明性があり、予測可能で、効率的かつ科学とリスクに基づいた、中国の農業バイオテクノロジーの審査体制の確立を約束したとしている。
サービスでは「金融サービス」の項目が「銀行サービス」に置き換えられた。これまでは差別的かつ不透明な規制により、外国資本の銀行は中国市場への参入が制限されてきたが、第1段階の協定で中国が米国金融機関の参入機会を広げることを約束したとしている。
デジタル貿易分野では、データの越境移転制限・現地化要求やクラウドサービス業の外資単独参入の禁止、インターネット検閲が引き続き中国の問題と指摘した。
(須貝智也)
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April 22, 2020 at 10:04PM
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第1段階の経済・貿易協定の締結により中国側は貿易慣行の改善を約束、2020年外国貿易障壁報告書(中国編)(中国、米国) | ビジネス短信 - ジェトロ(日本貿易振興機構)
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