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Friday, March 20, 2020

伊方トラブル報告書 背景を含めて安全性の見極めを - 愛媛新聞

社説

伊方トラブル報告書 背景を含めて安全性の見極めを

2020年3月21日(土)(愛媛新聞)

 四国電力は、伊方原発で1月に続発した重大トラブルの原因と対策をまとめた報告書を公表した。

 制御棒を誤って引き抜いたトラブルでは、1次冷却水に含まれる鉄の酸化物が関与するという過去に例のない原因を推定。ほかにも機器の故障や、所員らの情報共有が不十分で必要な改善策がとられなかったという指摘など、内容は多岐にわたる。

 四電は、中断している3号機の定期検査を再開する際には県や伊方町の同意を得る考えを示している。県は今後、報告書を専門家委員会で検証するが、トラブルの直接的な原因や対策だけでなく、背景を含めて安全性を慎重に見極めねばならない。国の原子力規制委員会によるチェックも不可欠だ。

 一連のトラブルの中で、規制委が最も問題視していた制御棒の引き抜きは、1次冷却水に含まれる酸素と配管の鉄の成分が反応してできた酸化物が制御棒の上部に詰まり、駆動装置と結合された状態になったと推定した。作業手順に問題はなかったものの、国内外の原発で初めて報告されたトラブルであり、こうした事態を想定した備えがなかった。

 四電は対策として、制御棒の確実な切り離しを確認する手順を加え、定検ごとに酸化物の状況を調べると提示。規制委の更田豊志委員長は、原因の特定は困難としつつも、別の原因でも再発は防止できるとして「対策は十分」との認識を示した。ただ、原子炉を「止める」重要な設備だけに徹底した安全確保が欠かせない。四電や規制委には対策の有効性について丁寧な説明が求められよう。

 報告書では、組織の情報共有やチェック機能が十分働いていない実態も浮かんだ。使用済み核燃料プールで、クレーンでつり上げた燃料が点検用ラックの枠に乗り上げたトラブルは、通常のラックよりも燃料を挿入する開口部が小さく、作業の難易度が高いことを操作員しか知らなかった。四電などと課題を共有できないまま適切な手順や作業環境の改善につながらなかったのは大きな反省点だろう。

 また四電は、県などからの指摘を踏まえ、人的要因や組織的な問題といったトラブルの背景についても評価した。長井啓介社長が所員をはじめ、関係・協力会社との意見交換を行ったほか、所員を対象とした意識調査を実施。モチベーションの低下や安全意識に問題はないと結論付けている。

 ただ、報告書には所員や関係・協力会社からの意見として、司法判断による3号機の長期停止や、廃炉で1基体制になったことでの原発の将来に対する不安、技術力の維持の困難さ、業務量の多さといった指摘も見られた。原発の安全を維持するためには現場の士気が大きく関わる。こうした声にさらに耳を傾ける必要があり、規制委や専門家委員会でも背景について踏み込んだ議論をしてもらいたい。

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