統合報告書の内容
「統合報告書」とは、企業の独自の強みである知的資産(定性的データ)と財務データ(定量的データ)の両方の観点から、自社の独自の強みや経営ビジョン、今後の事業展開とその見通しについてまとめた報告書です。 2014年に欧州議会で500人以上の従業員がいる域内の企業に、マネジメント・レポートにおいて、環境・社会・従業員・人権・腐敗防止等に関する方針・実績・リスクなどの「非財務的な要素」の開示を義務付ける会計改正案が承認されたことが、きっかけとなり、その後、その名の通り、CSR報告書等の内容をも吸収・統合し、ESG投資隆盛の流れもあって、多くの企業が、記載内容に関してさまざまな工夫をして、オリジナリティー溢れる報告書を発行する状況となってきています。 定番の項目は、「経営TOPのメッセージ」「中期経営計画」「環境問題への取組」「コーポレートガバナンス」などで、その他、重要な開示項目として「“人財”育成」「安全労働衛生への取組」にも多くのページを割き、それに関するさまざまな数値データも開示しており、企業の中長期的な経営を左右する重要項目として、投資家からの注目も高まってきております。統合報告書における産業保健関連開示項目
そして、実際に統合報告書に開示されている産業保健関連の主な項目としては・“人財”育成方法
・働き方改革への取組みと成果
・介護休暇、育児休暇など新設した制度の紹介
・ダイバーシティーへの取組状況
・健康経営への取組み
・ハラスメントへの対応
といったところを挙げることができます。また、産業保健関連の数値データとしては、
・従業員1人当たり月間残業時間の推移
・年間総労働時間の推移
・女性管理職比率の推移
・平均有給休暇取得比率の推移
・離職率の推移
といったところを開示している企業が多いです。今後の課題と期待
報道によれば、日本企業で統合報告書を発行している企業数は2019年度に初めて500社を超えたとのことで、今後も増えていくことは確実視されます。 しかしながら、まだ発行を開始して間もない企業も多いですし、産業保健分野に関しても、ダイバーシティーへの取組みや、残業時間削減への取組みなども始まったばかりで、改善トレンドが定着してきているかを判断できないケースもあり、投資家にとって有効な情報とは言えない段階のものも多いのが実情です。 将来的には、そうしたデータが揃ってくるのことに加えて、たとえば「健康経営への取組み」と生産性の推移、その他経営指標との関係など、「“非財務データ”と“財務データ”を関連性」を検証し、開示出来るような形になれば、投資家にとって極めて有効な投資尺度になるでしょう。 いずれにしても、今後も「統合報告書」に注目です。"報告書" - Google ニュース
March 24, 2020 at 07:40AM
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