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Monday, March 23, 2020

関電をむしばんだ原発事業「共犯関係」の呪縛 - 東洋経済オンライン

報告書で判明した金品授受と見返りの実態

3月14日に記者会見した関西電力の新社長に就任した森本孝氏(右から2人目)と岩根茂樹前社長(同3人目)(写真:共同通信)

関西電力の第三者委員会(但木敬一委員長)が3月14日に発表した、金品授受問題に関する調査報告書は、同社の原子力事業本部を舞台にした長年にわたる不正の実態を明るみに出した。

関電の高浜原子力発電所が立地する福井県高浜町の森山栄治元助役は、30年以上の長きにわたって、同社の首脳や原子力事業本部の幹部らに、現金や米ドル、金貨、小判、スーツの仕立券などの金品を提供し続け、その見返りとして関電の幹部らが、森山氏が関係する企業に、随意契約や工事の事前約束などの便宜供与を続けてきた。

報告書によれば、金品授受が判明したのは、八木誠元会長や岩根茂樹元社長ら関電首脳およびグループ企業を含めた役職員計75人。受け取っていた金品の総額は約3億6000万円相当にも上った。

工事に関する会合などの場で、森山氏や工事業者から多額の金品を繰り返し受け取っていたのが、関電の原子力事業本部の幹部だ。

中でも、破格とも言える金額の金品を受領してきたのが、原子力事業のトップを務めていた豊松秀己・元副社長だった。報告書によれば、豊松氏は原子力事業本部長代理だった2010年1月以降、2019年6月に副社長・原子力事業本部長を退任するまでに、森山氏および森山氏と親密な関係にある工事会社など3社から、延べ40回以上にわたって計1億1000万円相当の金品を受け取っていた。中には「一度に1000万円もの現金を複数回受領」したこともあったと第三者委の報告書は記している。

森山氏と原発事業トップの特別な関係

豊松氏が突出して多額の金品を受け取っていたことには理由があった。記者会見で第三者委の但木敬一委員長は、「森山さんが非常に親しい人が誰かといえば、内藤さんの後は豊松さん」と説明。「豊松さんと森山さんの関係は、ほかの人とのそれとは違う」とも述べている。

ここでいう内藤さんとは、内藤千百里(ちもり)・元関電副社長のことだ。芦原義重・元関電社長と「芦原-内藤ライン」と呼ばれる緊密な関係を築き、1970年代の森山氏の高浜町助役在任当時に、高浜原発3・4号機の増設を実現させた。

その裏側で、森山氏と不適切な関係を構築。原発増設の反対運動の押さえ込みや、原発関連の不祥事のもみ消し工作を森山氏に委ねた。本来、関電自らが取り組むべきトラブル処理を、不透明な形で森山氏に委ね続けてきたことが逆に、森山氏に弱みを握られることにつながったと報告書は指摘している。

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