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Thursday, May 13, 2021

カロリーメイトは「こうして生まれた」 苦労続き製品化に6年【大塚グループ100年〈16〉第2部】 - 徳島新聞

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発売当初のカロリーメイト(大塚製薬提供)

発売当初のカロリーメイト(大塚製薬提供)

 新型コロナウイルスという目に見えない敵との戦いが始まった2020年、育児中の共働き世帯は大きな問題に直面した。長期休校になった子どもの昼食はどうするか。学校給食のように計算された食事を毎日準備するのは難しい。そんな状況で役立てられたのが、バランス栄養食「カロリーメイト」だった。

 タンパク質や脂質、糖質など体に必要な5大栄養素をバランスよく取れ、缶入りのリキッドタイプは1本200キロカロリー、固形のブロックタイプが1本100キロカロリーとカロリー計算がしやすい。外出自粛で食欲が衰えた人や「コロナ太り」が気になる人も取り入れた。「栄養バランスを考えたときにカロリーメイトを思い浮かべてもらえたのがうれしい。どんな時代にも適応できる商品だとあらためて感じた」。大塚製薬(東京)の広報担当者は手応えを強調する。

 リキッドとブロックは1983年、同時に発売された。だが、開発のルーツは異なる。リキッドは、研究員が病院で点滴を受ける患者の姿を目の当たりにしたことがきっかけになった。病気が治っても、普通の食事ができないので退院できない。点滴に代わり、口から十分な栄養が取れる食品があれば社会復帰も早まると考えた。ヒントになったのは宇宙食。コンパクトで持ち運びしやすく、手軽に栄養を摂取できる食品を目指し、研究は始まった。

 一方、ブロックは「食が進まないときの朝食」という大塚明彦社長(当時)の提案が発端となった。当時、日本人の生活習慣が変わり、会社員や学生、主婦らが朝食を取らないことが社会問題となっていた。”忙しい現代人“に向けて「いつでもどこでも誰にでも食べられる朝食」というコンセプトが決まった。

 商品開発は苦労の連続だった。さまざまな原材料が均等に混ざり、賞味期限まで安定して品質が保たれる必要がある。水と油のように本来混じり合わないものを分離させない乳化の技術が不可欠だった。

 当然、味の良さも考慮しなければならず、その調整が困難を極めた。乳化技術を確立するのに3年、製品化までを含めると、通算6年の歳月を費やした。

 画期的な商品だけに、販路にも困った。発売当時の食品表示ではブロックは焼き菓子、リキッドは清涼飲料に当てはまる。バランス栄養食という新しいコンセプトに適する分類が存在しなかった。保健当局に3カ月以上かけて交渉し、「栄養調整食品」という新たな表示を認めてもらった。

 消費者を新しく創り出すことにも力を注いだ。全国に100人の「専任販売促進社員」を配置。水泳や新体操、ボクシングなど幅広い競技の選手に対し、健康に役立つ食品という価値を理解してもらい、実際に食べてもらう活動を続けた。選手を取り巻く医師や栄養士への理解も進んだ。その後、ダイエットや非常食などにも用途が広がった。

 「大塚はメーカーなので、製品や商品が企業の姿そのもの」と語るのは、カロリーメイトやポカリスエットの開発に携わった生産技術部の高市晶久顧問(78)。大きな壁にぶつかり、それを乗り越えたときにこそ、今までにない付加価値を持った商品が生み出せると説く。

 「感動を生む処方を念頭に置いたものづくりをしなければ、消費者の心をつかむことはできない。この信念を忘れず、明日の大塚をつくっていってほしい」。大塚グループの次なる100年を引っ張る後輩たちにエールを送った。=第2部おわり

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